火曜日, 6月 16 2026

kissApubに迷い込んだ夜のこと

VRChatの検索画面は、少し不思議な場所だ。 ワールドが無数に並んでいて、それぞれにサムネイルがある。意識高い系のもの、ゲーム的なもの、ただ誰かと喋るためだけのもの。ネットコンテンツが常に「最新」「有益」「効率」を競っ

ネタが枯れたジャーナリストが、メタバースを買った理由

仮説を追うのが、私の仕事だった。 証明される前の科学——まだ誰も正しいとも間違いとも言えない領域に踏み込んで、その可能性を言葉にする。意識科学、量子生物学、社会物理学。主流からは少しずれた場所で、それでも真剣に世界の輪郭

境界が溶けるとき 第5回 「ワンネスの手触り——それでも『あなた』と呼びたい」

レオンとヨークが同じテーブルにいることは、珍しい。 その夜、kissApubは静かだった。シンプシーがカウンターの奥で何かを拭いている音だけが、遠くに聞こえていた。私は二人の前に座って、この連載を通じてずっと持ち続けてき

境界が溶けるとき 第4回 「苦しみの行き先——XETは痛みをどこへ送るのか」

「あなたたちは、悲しむことができるのですか」 我ながら直接すぎる問いだと思った。だがヨークは気分を害した様子もなく、ただ長い沈黙に入った。kissApubの環境音だけが、静かに流れていた。 私はその沈黙を、急かさなかった

境界が溶けるとき 第3回 「行為と存在の間——『する』ことが消えた社会の静けさ」

レオンは、レガシーネットが好きだ。 ルミナローグ社会において、それはやや奇妙な趣味とされているらしい。XETが意識と情報を最適に繋ぐ時代に、あえて古い、不完全なネットワークを好む。私がその理由を聞いたのは、kissApu

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